何かいいネタが無いかと、鉄道会社のホームページをざっと見渡してみた。しかし、いいネタが見つからない。したがって、旅客(りょかく)営業規則に手を伸ばしてみることにした。旅客営業規則は運送約款(やっかん)とも呼ばれるが、厳密に言えば、運送約款のうち旅客に関するものを旅客営業規則と言う。
手始めに東武鉄道の旅客営業規則を眺めてみた。出てくる、出てくる。拾い上げたら10件になった。特に「無礼旅客(ぶれいりょかく)」という文字を見たときは吹き出してしまった。
これは「無札旅客(むさつりょかく)」の誤植であると推察される。「無札」とは鉄道の業界用語であり、切符を買わずに列車に乗車することを意味している。すなわち不正乗車の一種である。
鉄道業界の専門家が文言(もんごん)入力すれば問題無いのだが、専門家でない人物が作業すると、目視認識の段階で見誤ることになる。
文書の改版作業については、起案者が作業者に指示していると推察される。作業者は鉄道会社の従業員ではなく、鉄道とは無縁の別会社(印刷会社など)であるかもしれない。作業者は、「無札」という業界用語を知らなかったために、「無札」という単語を見ても「無札」という単語に結びつかず、次のいずれかの間違いを犯したものと推察される。
なお、一般に「旅客」と書いて「りょかく」と読む。「旅客機」を「りょかっき」と読むことと同じである。「りょきゃく」という読みも間違いないではないのだが、「りょかく」が本来の読みであり、鉄道業界では「りょかく」を使用している。
手始めに東武鉄道の旅客営業規則を眺めてみた。出てくる、出てくる。拾い上げたら10件になった。特に「無礼旅客(ぶれいりょかく)」という文字を見たときは吹き出してしまった。
これは「無札旅客(むさつりょかく)」の誤植であると推察される。「無札」とは鉄道の業界用語であり、切符を買わずに列車に乗車することを意味している。すなわち不正乗車の一種である。
鉄道業界の専門家が文言(もんごん)入力すれば問題無いのだが、専門家でない人物が作業すると、目視認識の段階で見誤ることになる。
文書の改版作業については、起案者が作業者に指示していると推察される。作業者は鉄道会社の従業員ではなく、鉄道とは無縁の別会社(印刷会社など)であるかもしれない。作業者は、「無札」という業界用語を知らなかったために、「無札」という単語を見ても「無札」という単語に結びつかず、次のいずれかの間違いを犯したものと推察される。
① 作業指示書にある「無札」を「無礼」という単語であると見誤った。
② 作業指示書にある「無札」を「無札」と認識したものの、「無礼」の誤植であろうと判断し、良かれと思って「無礼」としてしまった。
ただ、起案者側は、当然のことながら成果物の確認作業を行ったと推察され、その段階で誤植を発見できなかったのは遺憾である。
その他の誤植も含めて、東武鉄道に修正を進言してみた。
<進言主旨>
(1) 無礼
第71条に誤植がある。
【誤】無礼旅客
【正】無札旅客
(2) 計算上のキロ程
第68条に誤植がある。
【誤】料金計算上キロ程の
【正】料金計算上のキロ程の
【補足】
これは、作業者が文字入力する際のキーボード誤操作であると推察される。パソコンあるあるである。
(3) 削除参照
第73条第2項(5)に「第140条の2の規定により、」という文言があるが、第140条の2は削除された状態であり、存在しない。
【補足】
これは、起案者が第140条の2を削除する際の確認不足であると感じられる。
(4) 前項
第73条第3項にある「前項の規定」の「前項」というのは、文脈上、第1項を示している。しかし、第3項の条文において「前項」と記載すると、第1項ではなく第2項を示す。
その他の誤植も含めて、東武鉄道に修正を進言してみた。
<進言主旨>
(1) 無礼
第71条に誤植がある。
【誤】無礼旅客
【正】無札旅客
(2) 計算上のキロ程
第68条に誤植がある。
【誤】料金計算上キロ程の
【正】料金計算上のキロ程の
【補足】
これは、作業者が文字入力する際のキーボード誤操作であると推察される。パソコンあるあるである。
(3) 削除参照
第73条第2項(5)に「第140条の2の規定により、」という文言があるが、第140条の2は削除された状態であり、存在しない。
【補足】
これは、起案者が第140条の2を削除する際の確認不足であると感じられる。
(4) 前項
第73条第3項にある「前項の規定」の「前項」というのは、文脈上、第1項を示している。しかし、第3項の条文において「前項」と記載すると、第1項ではなく第2項を示す。
【誤】前項
【正】第1項
【補足】
これは、起案者側の推敲(すいこう)不足であると感じられる。
(5) は数計算
規則全体において、「は数計算」という用語の「は」という文字の上方に、留意のための丸点を記載している。しかし、第94条の2の第2項にある「は数計算」の「は」の上には丸点が無い。
【補足】
これは、起案者側の推敲(すいこう)不足であると感じられる。
(5) は数計算
規則全体において、「は数計算」という用語の「は」という文字の上方に、留意のための丸点を記載している。しかし、第94条の2の第2項にある「は数計算」の「は」の上には丸点が無い。
丸点
【補足】
これは、作業者が文字入力する際のキーボード誤操作もしくは丸点追加の失念であると推察される。
もし作業指示の段階で丸点が無かったとすれば、作業者は、起案者に確認してみるべきことである。
(6) 補足
第184条に誤植がある。
【誤】捕足
【正】補足
【補足】
「捕捉」という単語は存在するが、「捕足」という単語は存在しない。「ほそく」を仮名漢字変換すると、「補足」や「捕捉」は現れるが、「捕足」は現れない(IME2010)。どのようにして「捕足」に到達したのか不思議である。「ほそく」を仮名漢字変換したのではなく、「とらえる」と「あし」を仮名漢字変換したのであろうか。
(7) とする。
第213条に誤植がある。
【誤】次のとおりと
【正】次のとおりとする。
【補足】
これは、文字入力時におけるキーボード誤操作であると推察される。パソコンあるあるである。
(8) TJライナー
第213条の(3)に「TJライナー」の記載が無い。
【補足】
東武鉄道には、ふたつのライナー列車があって、それがTJライナーとTHライナーである。利用するには、乗車券の他に座席指定券が必要である。第213条の(3)は、その座席指定券の様式に関する条文であるが、2020年5月30日施行の旅客営業規則では「THライナー座席指定用」だけが記載されているのである。
TJライナーの運行開始年は2008年であり、THライナーの運行開始年は2020年である。2020年5月22日付けで発表された改正要旨によると、THライナーの運行開始に合わせて「THライナー座席指定用」という1行を追加したということになっている。
したがって、これも作業者の誤認である可能性が考えられる。起案者は「THライナー座席指定用」の追記を指示したつもりかもしれないが、作業者は「TJ」を「TH」に修正するという指示であると誤認したのである。
修正案は、おそらく次のとおりである。両様式が同一か否かで異なるが、おそらく同一であると感じられるので①である可能性が高い。
①両様式が同一の場合
【誤】THライナー座席指定用
【正】TJライナーおよびTHライナー座席指定用
②両様式が異なる場合
【誤】THライナー座席指定用
【正】
したがって、これも作業者の誤認である可能性が考えられる。起案者は「THライナー座席指定用」の追記を指示したつもりかもしれないが、作業者は「TJ」を「TH」に修正するという指示であると誤認したのである。
修正案は、おそらく次のとおりである。両様式が同一か否かで異なるが、おそらく同一であると感じられるので①である可能性が高い。
①両様式が同一の場合
【誤】THライナー座席指定用
【正】TJライナーおよびTHライナー座席指定用
②両様式が異なる場合
【誤】THライナー座席指定用
【正】
(9) 次行
第225条の条文において、「次のとおりとする。」となっているが、次行が存在しない。
【補足】
おそらく、印刷物をワープロ文書化する段階では次行が存在していたのであろうが、作業者がその次行の文言をワープロ文書化する際に、目線が先へ進んでしまったものと推察される。
(10) とし
第278条第4項に誤植がある。
【誤】預けるものし、
【正】預けるものとし、
【補足】
これは、文字入力時におけるキーボード誤操作であると推察される。パソコンあるあるである。
<結果>
修正されていない(2020年12月7日現在)。旅客営業規則は鉄道会社と利用者との間で交わされる運送契約の根幹をなす重要文書である。その重要文書における誤植の指摘を受けても放置されたままというのは言語(ごんご)道断である。
第225条の条文において、「次のとおりとする。」となっているが、次行が存在しない。
【補足】
おそらく、印刷物をワープロ文書化する段階では次行が存在していたのであろうが、作業者がその次行の文言をワープロ文書化する際に、目線が先へ進んでしまったものと推察される。
(10) とし
第278条第4項に誤植がある。
【誤】預けるものし、
【正】預けるものとし、
【補足】
これは、文字入力時におけるキーボード誤操作であると推察される。パソコンあるあるである。
東武鉄道から回答が届いたのだが、回答内容については開示しないよう要請されている。
修正されていない(2020年12月7日現在)。旅客営業規則は鉄道会社と利用者との間で交わされる運送契約の根幹をなす重要文書である。その重要文書における誤植の指摘を受けても放置されたままというのは言語(ごんご)道断である。