不正乗車厳禁!「フルムーン夫婦グリーンパス」の指定券

2020年9月6日(日)


    一般に、例えば特急列車のグリーン車の場合、自席の乗車券・特急券・グリーン券の他に隣席の乗車券・特急券・グリーン券も購入することは不正行為である。このことは旅客(りょかく)営業規則に明記されている。
    そのような行為を行っても、車掌は誰も着席していない席を空席扱いすることができるので、当日、空席を探す乗客がいれば、車掌はその乗客にその席を案内することになる。その席の乗車券・特急券・グリーン券を車掌に示して権利主張しても無駄となるだけでなく、キツいおとがめを受けることになる。

    さて、本題に移りたい。JRの「フルムーン夫婦グリーンパス」は、グリーン車指定席を何回でも利用することができるので、類似の問題が想定される。
    隣席の指定券も確保しておくと、隣席が空席のままとなるのである。しかし、これは不正行為である。
     JR側はそのような事態をどのようにして防いでいるのか興味が湧く。ネット記事も調べてみたが、本件に言及している記事を見つけることができなかった。

     JR東海にその旨を質問してみた。

<質問主旨>
    「フルムーン夫婦グリーンパス」を利用する際に、自席以外の席の指定券も入手することができる。そのような不正行為を防ぐようになっているか。

     JR東海から回答が届いたのだが、回答内容については開示しないよう要請されている。

    「フルムーン夫婦グリーンパス」は、ふたりの年齢が合わせて88歳以上の男女であれば購入可能であり、JR全線の乗車券として利用可能で、グリーン車(「のぞみ」と「みずほ」を除く)と普通車指定席を何度でも利用可能というものである。


    「フルムーン夫婦グリーンパス」は、1981年(国鉄時代)に発売開始された、非常に息の長い「きっぷ」である。機会を見つけて利用してみたいと考えているが、未だに利用したことがない。その理由は次のとおりである。
①根っからの貧乏性なので、普通車で充分であると考えている。
②他に適切な「お得なきっぷ」があり、ジパング倶楽部(クラブ)割引(以下「ジ3割」)もある。
③内猫をペットホテルに預けるのがしのびなく、採算がとれる行程の旅行を予定していない。

    「フルムーン夫婦グリーンパス」の値段は5日間用で84,330円であり、その採算ラインはどのあたりであろうか。ジ3割を利用すれば、その採算ラインはかなり遠くなり、価格比較は次のとおりである。

(1)  一般
【区間】東京⇔岡山
【列車】ひかり
【割引】往復

【往復運賃】19,200円
【特急料金】5,930円×往復=11,860円
【グリーン料金】6,600円×往復=13,200円
【ひとり計】44,260
【ふたり計】88,520円

(2)  ジ3割
【区間】東京⇔新鳥栖(しんとす)
【列車】ひかり&さくら
【割引】往復&ジ3割

【往復運賃】18,220円
【特急料金】6,580円×往復=13,160円
【グリーン料金】6,280円×往復=12,560円
【ひとり計】43,940円
【ふたり計】87,880円

    実際問題としてはどうであろうか。グリーン車にこだわれば、「フルムーン夫婦グリーンパス」は確実にお得な「
きっぷ」である。しかし、グリーン車にこだわらないのであれば、関東在住者にとっては、「お先にトクだ値(ね)」や「大人の休日倶楽部パス(東日本)」(以下「大休(おときゅう)パス」)というものもあり、更にシニアにとっては「大人の休日倶楽部」ジパング会員割引やジ3割という選択肢もある。
    特に、大休パスの場合は、ふたりで「東京~新青森」間をグリーン車で往復するくらいであれば、そのグリーン特急料金を追加負担しても、「フルムーン夫婦グリーンパス」より割安なのである。

<大休パス案>
【パス値段】15,270円
【グリーン特急料金】
12,040×往復=24,080
【ひとり計】39,350
【ふたり計】78,700
【日数】4日間

    なお、「フルムーン夫婦グリーンパス」に類似の「
きっぷ」として、JR四国に四国グリーン紀行という「きっぷ」が存在する。