線路名称とは異なる!鉄道の路線名称

2020年6月2日(火)


    北九州市育ちの私にとって、首都圏の濃密な鉄道網は大きな魅力であった。首都圏ではJRも私鉄も路線名を多用して案内されるので、首都圏で生活する場合、ある程度の路線名に関する知識を身につける必要がある。

    ところで路線名の中で、該当する区間がどこからどこまでなのか判りにくいものがある。例えば、総武線と中央線の分岐点はどの駅であろうか。私は、時刻表を愛読し始めた頃にその疑問が生じた。
    総武線と中央線の分岐点は御茶ノ水駅である。しかし、黄色の電車は千葉駅から三鷹駅まで走行しているので、運転系統としては「中央・総武線」などと称している。但し、千葉駅から三鷹駅までの全ての駅において、乗り場の案内として「中央・総武線」などという名称を使用しているかというとそうではない。例えば、御茶ノ水駅において三鷹方面の案内については、中央線と言い、千葉方面については総武線と言っている。
    なお、「中央線」や「総武線」という表現は路線名(運転系統名称)であって、線路名称は「中央本線」や「総武本線」である。

中央・総武線

    乗客にとって重要な情報は、線路の名称ではなく、運転系統名称である。特急列車については運転系統に愛称が存在するので、愛称で案内することができるが、普通列車については列車愛称が存在しないので運転系統の名称で案内しているのである。その名称として主たる線路名称を採用しているということである。すなわち、運転系統の名称(すなわち路線名称)と線路名称は別物なのである。路線と線路は別物と言っても良い。
①路線
    同一区間を運転される列車群を指す
②線路
    敷設(ふせつ)されている土木基盤を指す
    すなわち、路線は上の部分で、線路は下の部分というイメージである。

    さて、その下の部分である線路の名称については厳密に定められている。例えば、東北新幹線が開業するまでの特急列車は上野駅が始発駅であった。では東北本線の起点は上野駅かというと、上野駅ではなく、起点は東京駅なのである。「東京駅以北が東北本線であるが特急列車は上野駅から出発していた」ということである。私が小学生の時、「東北本線の起点は上野駅である」として習った記憶があるのだが、それは厳密に言えば間違いだったのである。

    また、「東京~盛岡」間は東北本線であるという表現は正しいが、東北本線は「東京~盛岡」間であるという表現は間違いである。正しくは、東北本線は次なる5線の総称である。
①東京~盛岡
②赤羽(あかばね)~武蔵浦和(むさしうらわ)~大宮
③長町(ながまち)~東仙台
④岩切(いわきり)~利府(りふ)
⑤塩釜(しおがま)~高城町(たかぎまち)

東北本線

    ②は埼京(さいきょう)線と言われているが、それは運転系統としての路線名称であり、線路名称は東北本線である。この埼京
線という名称は、「赤羽~大宮」間を指すこともあるが、多くの場合「大崎~川越(かわごえ)」間を指している。
    ③は仙台の南方にある長町(ながまち)を起点とする盲腸線であり、かつ貨物線である。
    ④は仙台の北方にある岩切(いわきり)駅を起点とする盲腸線である。
    ⑤は本線と仙石線を結ぶ短絡線である。

    京浜東北線という名称の路線は存在するが、京浜東北線という名称の線路は存在しない。京浜東北線というのは路線名称すなわち運転系統名称であり、大宮から大船まで運行されている。京浜東北線の電車が走行する線路は、次のとおりである。
①大宮~東京・・・東北本線
②東京~横浜・・・東海道本線
③横浜~大船・・・根岸(ねぎし)線

京浜東北線の運行区間

    横浜駅の大船
方面のホームにおいては、京浜東北線という名称ではなく、根岸線という名称で案内していて、京浜東北線という名称では案内していない。大船駅の横浜方面のホームにおいては、根岸線という名称だけでなく京浜東北線という名称でも案内している。

    常磐線の特急列車は品川駅から出発しているが、品川以北が常磐線かというとそうではなく、常磐線の特急列車が「日暮里(にっぽり)~品川」間に乗り入れているということである。線路名称としては、「品川~東京」間は東海道本線であり、「東京~日暮里」間は東北本線である。

「特急ひたち」の運行区間