「始めて・・・した」は困りもの!某博物館における哀しい説明文

2017年9月25日(月)


    某博物館を見学した際に、気になる表現を目にした。その博物館の展示内容については大いに感動したのだが、展示品に関する手書きの説明文に「始めて・・・した」という表現があったのである。

    「始めて・・・した」は間違いである。
    「初めて・・・した」が正しい。
    説明してくれたスタッフにその旨を指摘したところ、キョトンとした表情であった。

    「始めて」と書くべきところを「初めて」と書いてしまった事例を目にしたことは無いが、「初めて」と書くべきところを「始めて」と書いてしまった事例につては目にすることが多い。「最初に」という表現と置き換えてみて意味が変わらなければ、「初めて」が正しく、「開始して」という表現と置き換えてみて意味が変わらなければ、「めて」が正しいのである。

    「始めて」を単語に分解すると、「始める」という動詞の連用形「始め」と助詞の「て」である。
    「初めて」は、これだけでひとつの単語であり、品詞は副詞である。

    昭和の歌謡曲で「銀座の恋の物語」(作詞:大高ひさを)という曲がある。その歌詞に「若い二人が 始めて逢った」という表現がある。残念なことである。