わずかな手間でお得かも!JRの分割運賃

2026年5月25日(月)

    2026年3月13日以前についてはこちら


     JRの鉄道運賃は、距離帯別に定められている。例えば、JR東日本の幹線の場合で営業キロ20km前後については、次のとおりである。
【15km超20km以下】350円(IC運賃341円)
【20km超25km以下】440円(IC運賃440円)
    したがって、例えば、次のとおりである。
【営業キロ】19.9kmと20.0km
  【距離差】0.1km
  【運賃差】90円(IC運賃99円)
【営業キロ】20.1kmと25.0km
  【距離差】4.9km
  【運賃差】同額
    すなわち、者は4.9kmもの差がありながら運賃同額であるが、者はわずか0.1kmの差であっても、90円(IC運賃99円)もの差が存在するのである。釈然としないかもしれないが、こういう制度なのである。
    しかし、この制度を利用すれば、お得な運賃を利用することができる。それは分割運賃である。

    JR東日本は、2026年3月14日の運賃改定に併せて、IC運賃と紙運賃の関係を変更した。旧運賃では幹線においては紙運賃はIC運賃の四捨五入であった(詳細はこちら)が、新運賃においては一律切り上げとした。すなわち、常に「IC運賃≦紙運賃」という不等式が成立することになった。このことによって、分割運賃の利点はより一層増加することとなった。

    例えば、「東京⇒根府川(ねぶかわ)」間の場合は、茅ケ崎(ちがさき)で分割すると128円もお得である。往復すれば、256円もお得である。
【一括運賃】1,782円
【分割運賃】1,654円
【差】△128円
    その詳細は、次のとおりである。

往路

    根府川は無人駅であり、簡易自動改札機と遠隔操作窓口が存在する。その状況に合わせて記述するが、自動改札機の備わった駅員配置駅であっても主旨は同じである。
    以下、「ICカード」とは交通系ICカードのことであり、スマホ版を含む。
一括IC】区間A:IC運賃
    東京においてICカードを自動改札機にタッチして入場する。根府川においてICカードを簡易自動改札機にタッチして出場する。
一括紙】区間A:紙運賃
    「東京⇒根府川」間(または「東京⇒1,790円区間」)の乗車券を所持したうえで、東京において乗車券を自動改札機に投入して入場する。根府川の乗車券回収箱に乗車券を投入して出場する。
【IC&IC】区間B:IC運賃  区間C:IC運賃
    東京においてICカードを自動改札機にタッチして入場する。茅ケ崎においてICカードを自動改札機にタッチして出場する。根府川においてICカードを簡易自動改札機にタッチして出場する。
【IC&紙】区間B:IC運賃  区間C:紙運賃
    「茅ケ崎⇒根府川」間の乗車券を所持したうえで、東京においてICカードを自動改札機にタッチして入場する。茅ケ崎においては出入場しない。根府川の遠隔操作窓口において、ICカードと乗車券を提示して「東京⇒茅ケ崎」間のIC運賃をICカードで支払う(乗車券は回収される)。
&IC区間B:紙運賃  区間C:IC運賃
    「東京⇒茅ケ崎」間(または「東京⇒1,040円区間」)の乗車券所持したうえで、東京において乗車券を自動改札機に投入して入場する。茅ケ崎において乗車券を自動改札機に投入して出場する茅ケ崎においてICカードを自動改札機にタッチして入場する。根府川においてICカードを簡易自動改札機にタッチして出場する。
    もし茅ケ崎において出入場しなければ、「一括紙」案と同額となる。
【紙&紙】区間B:紙運賃  区間C:紙運賃
    「東京⇒茅ケ崎」間(または「東京⇒1,040円区間」)の乗車券と「茅ケ崎⇒根府川」間の乗車券所持したうえで、東京において東京⇒茅ケ崎」間(または「東京⇒1,040円区間」)の乗車券を自動改札機に投入して入場する。根府川の乗車券回収箱に2枚の乗車券を投入して出場する。

<後続列車に乗り継いでもあとの行程に影響しない場合>
    「IC&IC」案が最もお得であり、「一括IC」案よりも132円お得である。但し、茅ケ崎において出入場する必要がある。
後続列車に乗り継ぐとあとの行程に影響する場合
    「IC&紙」案が最もお得であり、「一括IC」案よりも128円お得である。茅ケ崎において出入場する必要はない。

    上述において、「IC&紙」案と「紙&紙」案は、あらかじめ「茅ケ崎⇒根府川」間の乗車券を所持することが必要である。東京において、「えきねっと」で申し込んで指定席券売機によって発券すればよい。
   なお、「みどりの窓口」でも他駅発の乗車券を購入することができ

    復路(すなわち「根府川⇒東京」間)については、茅ケ崎ではなく保土ケ谷(ほどがや)で分割すれば往路と同額である。

    分割運賃を検討すべきか否かの見分け方は、区間Aの営業キロが距離帯の上限をわずかに超えている場合(上例で90.4km)である。
    逆に、区間Aの営業キロが距離帯の上限に一致している場合(例えば90.0km)距離帯の上限にわずかに届かない場合(例えば89.9km)は、分割運賃がお得になる可能性は低い。

    次に、分割駅の見つけ方であるが、上例の往路においては、「東京~茅ケ崎」間の58.6kmというのが注目点である。よく利用する駅については、あらかじめ距離帯の上限(例えば60.0km)の駅や距離帯の上限にわずかに届かない(例えば59.9km)駅を見つけておくと、分割案の検討が容易である。
    下表は、東京出発の場合における東海道線方面と宇都宮線方面の代表的な分割駅である。

代表的な分割駅

    分割候補が複数存在する場合は、IC運賃と紙運賃の差に着目すべきである。区間BのIC運賃と紙運賃の差が大きいとお得である。

    なお、次なる金額の区間は、「IC運賃=紙運賃」である。
【幹線】440円 2,090円以上
【地方交通線】220円 440円 1,980円以上
【特定区間】440円
    この場合は、「IC&紙」ではなく「紙&紙」とすることがおすすめである。「紙&紙」であれば、目的地で精算する必要がない。区間Cの到着駅における出場方法は、次のとおりである。
【駅員配置駅】2枚の乗車券を有人改札口に提出して出場する
乗車券回収箱の有る無人駅】2枚の乗車券を乗車券回収箱に投入して出場する
乗車券回収箱の無い無人駅2枚の乗車券を乗務員に提出して出場する

    次に、各距離帯における分割組み合わせを調べてみた。もし黄色で示す分割が可能であれば、それが最もお得である。

分割組み合わせ

    この表は東京出発に限った情報ではなく、JRのどの駅からの出発であっても適用可能な情報である。JR東日本の幹線の場合を示しているが、JR東日本の地方交通線の場合でも両者混在の場合でも、考え方としては同様である。
    JR東日本以外のJR区間の場合、「紙&紙」案については上述と同様に考えることができる。しかし「紙&紙」案以外については、原則として「IC運賃=紙運賃」であることに注意する必要がある。

  上例の「紙&IC」案において、茅ケ崎駅において出入場しなければ「一括紙」案と同額となると記述したが、一般的に記述すると次のとおりである。理解を助けるために、区間Xを区間Yと区間Zに分割すると定義する。
【区間Xが大都市近郊区間内または営業キロ100km以下の場合】
    支払額=区間Xの紙運賃ー区間Yの紙運賃
    上述の例(東京⇒根府川)がこれに該当し、支払額は750円である。すなわち、合計運賃は「一括紙」案と同額である。
【その他】
    支払額=区間Zの運賃
<例>
    区間X:東京都区内⇒藤枝(ふじえだ) 200.3km 3,850円
    区間Y:山手線内⇒熱海 104.6km 2,090円
    区間Z:熱海⇒藤枝 95.7km 1,690円
    支払額は、1,690円である。すなわち、合計運賃は「紙&紙」案と同額である。

    JR以外の鉄道については、「えきねっと」による購入が不可能なので、「IC&紙」案や「紙&紙」案を実行することは困難である。
    また、特定区間(「品川~横浜」「新宿~高尾(たかお)」など)は他社との競合都合により特別に低運賃が設定されている。特定区間を含む場合は、分割運賃を検討してみる価値がある。

    なお、路線によっては「フリーきっぷ」のたぐいも検討すべきである。また、ジパング倶楽部(クラブ)会員や「大人の休日倶楽部」ジパング会員であれば、営業キロ80km超においてはそれらの割引を利用することも検討すべきである(詳細はこちら)。

<実例>
【旅行日】2026年5月24日(日)
    「大宮~大前(おおまえ)」間を往復した。深谷(ふかや)以遠については、「ぐんまワンデーローカルパス」を利用した。「ぐんまワンデーローカルパス」はスマートフォンを利用した「電子きっぷ」である。

行程図
【鴻巣】こうのす【行田】ぎょうだ【長野原草津口】ながのはらくさつぐち

    旅行前日、「えきねっと」によって「鴻巣⇒深谷」間の乗車券と「行田⇒大宮」間の乗車券を購入した。旅行当日、大宮駅の指定席券売機によって、両乗車券を発券した。
    大宮において、ICカードを利用して入場した。

乗車券

    長野原草津口駅の有人改札口において、大宮入場時に使用したICカード、この乗車券、および「ぐんまワンデーローカルパス」を提示して精算を申し入れた。すなわち、「大宮⇒鴻巣」間の乗車券を所持していなくて「鴻巣⇒大前」間の乗車券を所持している状態と同等である。窓口氏は、ためらうことなく処理した。ICカードで支払った。なお、大宮においてICカードで入場したので、精算金額は紙運賃ではなくIC運賃である(詳細はこちら)。乗車券は回収された。

精算書

往路

    往路の採算は、次のとおりである。
【分割(IC&紙)】341円+530円=871円
【一括(IC)】902円
【お得額】△31円

    長野原草津口駅において、「ぐんまワンデーローカルパス」を利用して入場した。

乗車券

    大宮の有人改札口において、「ぐんまワンデーローカルパス」この乗車券を提示して精算を申し入れた。すなわち、大前⇒深谷」間と「行田⇒大宮」間の乗車券を所持していて「深谷⇒行田」間の乗車券を所持していない状態と同等である窓口氏は、ためらうことなく処理した。ICカードで支払った。なお、「ぐんまワンデーローカルパス」は「電子きっぷ」なので、精算金額は紙運賃ではなくIC運賃である(詳細はこちら)。乗車券は回収された。

精算書

復路

    復路の採算は、次のとおりである。
【分割(IC&紙)】341円+530円=871円
【一括(IC)】902円
【お得額】△31円

    したがって、当日のお得額(往路と復路の合計)は、62円である。

    下表は、大宮出発の場合における東海道線方面と高崎線方面の代表的な分割駅である。鴻巣は、大宮からの営業キロがちょうど20.0kmであり、分割駅としての利用価値が高い駅である。

代表的な分割駅