【15km超20km以下】IC運賃330円 紙運賃330円
【20km超25km以下】IC運賃418円 紙運賃420円
したがって、例えば、次のとおりである。
【営業キロ】15.1kmと20.0km
【距離差】4.9km
【運賃差】同額
【営業キロ】20.0kmと20.1km
【距離差】0.1km
【運賃差】IC運賃88円 紙運賃90円
すなわち、前者は4.9kmもの差がありながら運賃同額であるが、後者はわずか0.1kmの差であっても、IC運賃では88円、紙運賃では90円もの差なのである。釈然としないかもしればいが、こういう制度なのである。
しかし、この制度を利用すれば、お得な運賃を利用することができる。それは分割運賃である。例えば、「大宮~熊谷(くまがや)」間の場合は、鴻巣(こうのす)で分割するとお得であり、次図のとおりである。
上図の場合、紙&紙という分割運賃は、大宮駅においてあらかじめ「大宮⇒鴻巣」と「鴻巣⇒熊谷」の乗車券(2枚)を準備することを示している。入場においては自動改札機を利用する。出場においては2枚の乗車券を有人窓口に提出して出場する。
大宮駅で乗車券を購入する場合、「大宮⇒鴻巣」についてはどの券売機でも購入することができるが、「鴻巣⇒熊谷」の乗車券については、有人窓口でなければ購入することができない。したがって、次なる方法が簡易な方法である。
【大宮⇒鴻巣】
大宮駅の指定席券売機において「大宮⇒鴻巣」間の乗車券を購入する。
【鴻巣⇒熊谷】鴻巣駅で下車して、鴻巣駅において「鴻巣⇒熊谷」間の乗車券を購入する。もし、鴻巣駅で下車せずに熊谷駅で精算すると、通し運賃との差額を支払うことになり、分割運賃とはならない。
なお、指定席券売機では、片道運賃500円超(紙運賃)であれば、他駅発の乗車券を購入することができる。また、「えきねっと」を利用すればどの区間の乗車券でも購入することができる。あらかじめ「えきねっと」で購入しておけば、指定席券売機における受け取り操作だけで済む。
上述の「鴻巣⇒熊谷」間に関する鴻巣での出入場というのは、原券が大都市近郊区間内であるか、営業キロが100km以下区間の場合である。もし、鴻巣駅で出入場せずに熊谷駅で精算すると、通し運賃の不足額(すなわち「大宮⇒熊谷」間の運賃と「大宮⇒鴻巣」間の運賃の差)を支払うことになる。したがって、分割運賃とはならない。
そのいずれでもない場合(すなわち原券が大都市近郊区間内でなくかつ営業キロが100km超区間の場合)は、精算額が通し運賃の不足額ではなく乗り越し区間の本来の運賃を支払うことになるので分割運賃となる。したがって、途中出入場せずに精算してもよい。
往復する場合は、あらかじめ往復乗車券を購入してもよい。
また、分割駅における出入場については、次のとおりである。
【紙&紙】出入場する必要はない。出入場してもよい。
【IC&紙】出入場する必要はない。出入場してもよい。出入場しなければ窓口精算することになる。その精算金額は、IC区間のIC運賃である。
【紙&IC】出入場する必要がある。出入場しなければ窓口精算することになる。その精算金額は、次なる2通りが存在する。
【大都市近郊区間内と100km以内の区間】一括紙運賃と原券運賃の差額
【その他】乗り越し区間の紙運賃
【IC&IC】出入場する必要がある。出入場しなければ一括IC運賃である。
分割運賃を検討すべきか否かの見分け方は、一括区間の営業キロが、キリのよい数値をわずかに超えている場合(例えば20.1km)である。
また、「新宿~高尾(たかお)」や「品川~横浜」などは他社との競合都合により特別に低運賃が設定されている。それらの区間を含む場合は、分割運賃を検討してみる価値がある。
逆に、一括区間の営業キロが、キリのよい数値にわずかに届かない場合(例えば19.9km)やキリのよい数値に一致している場合(例えば20.0km)は、分割運賃がお得になる可能性は低い。
ここで、分割駅の見つけ方であるが、上例においては、20.0kmというのが注目点である。よく利用する駅については、あらかじめ営業キロのキリのよい(例えば20.0km)駅やキリにわずかに届かない(例えば19.9km)駅を見つけておくと、分割案の検討が楽である。
IC運賃と紙運賃については、ほとんどの乗換案内ソフトが対応している。その中でも、ジョルダン乗換案内では、IC運賃と紙運賃がワンタッチで切り替えられるので、どちらがお得であるかを知るには便利である。