2026年13月28日(土)
山北(やまきた)鉄道公園に、SLが動態保存されている。そこに、下に示す看板が設置されているのだが、その看板に哀しい記述が存在する。
D5270号ごあいさつ
(1)
この看板に、次なる記述が存在する。
【私は昭和19年4月に生れてから山陽線や、東海道線で、働き昭和26年2月国府津機関区に配属されてからは、ほとんど御殿場線で活躍し皆様と一緒にこの山の間を何百回と走りました。】
このセンテンスには、いくつかの問題が含まれている。
① 長さ
ビジネスなどの環境においてこの記述を含む書類を提出すると、上司から叱責される。ワンセンテンスが長すぎるのである。
② 生れて
「生」の送り仮名は、「生まれる」でも「生れる」でもよいとされている。しかし、公用文では「生まれる」が正しいとされている。したがって、次のとおりである。
【推奨】生まれて
【許容】生れて
③ 読点
読点(とうてん)の場所が不適切である。
【正】・・・山陽線や東海道線で働き、昭和・・・
【誤】・・・山陽線や、東海道線で、働き昭和・・・
④ 2月国府津
「昭和26年2月国府津機関区に配属されてからは」と記述すると、「昭和26年2月国府津機関区」という名称が存在したかのごとき誤解を招く。「昭和26年2月」と「国府津機関区」の間に、「に」を置くとそのような誤解を防ぐことができる。「に」がなくても文脈としては誤解されないと感じられるが、「に」がないほうがよいという理由があるとは感じられない。したがって、次のとおり記述したほうがよい。
【推奨】昭和26年2月に国府津機関区に配属されてからは
【許容】昭和26年2月国府津機関区に配属されてからは
以上を考慮すると、推奨される記述は次のとおりである。
【私は昭和19年4月に生まれてから、山陽線や東海道線で働きました。昭和26年2月に国府津機関区に配属されてからは、ほとんど御殿場線で活躍し皆様と一緒にこの山の間を何百回と走りました。】
(2)
この看板に、次なる記述が存在する。
【御殿場線が昭和43年8月1日に全線に電車が走るようになったので私のつとめも終りになりましたので、山北町の皆様と国鉄当局のご協力によって、この場所に記念として置いて下さるというので安心しました。】
このセンテンスにおいても、いくつかの問題が含まれている。
① 長さ
上述の(1)と同様であり、このセンテンスも長すぎる。
② 終り
「終」の送り仮名は、「終わる」でも「終る」でもよいとされている。しかし、公用文では「終わる」が正しいとされている。したがって、次のとおりである。
【推奨】終わり
【許容】終り
③ ので
「ので」が2か所存在する。しかも、前方の「ので」については、「役目を終えたので廃棄される運命であったが、保存されることになった。」という主旨なので、「ので」の前後が原因と結果という関係ではない。したがって、「ので」を使用することは不適切である。
④ この場所に記念として置いて下さる
「この場所に置く」と「記念として置く」では、「記念として」よりも「この場所に」のほうが「置く」との密接度が高いと感じられる。したがって、「この場所に記念として置く」という構文よりも「記念としてこの場所に置く」という構文のほうが適切である。
以上を考慮すると、推奨される記述は次のとおりである。
【昭和43年8月1日に、御殿場線の全線において電車が走るようになりました。その結果、私のつとめも終って廃棄処分される運命でしたが、山北町の皆様と国鉄当局のご協力によって、記念としてこの場所に置いて下さるというので安心しました。】
以上の2文について、山北町観光協会に修正を進言したいのだが、進言理由を説得することは容易ではないと感じられるので、保留することとした。山北町観光協会の関係者が本記事を目撃したら、検討していただきたい。
