鉄道のループ線は、次の3種類に大別することができる。
【アルファループ線】
α(アルファ)という文字のような形状
【オメガループ線】
Ω(オメガ)という文字のような形状(いわゆるヘアピンカーブ)
【オーループ線】
O(オー)という文字のような形状
特に断らない限り、アルファループ線のことを単にループ線ということが多い。以前、鉄道のループ線について記述したことがあるが、それはアルファループ線のことである(詳細はこちら)。
オーループ線は、山手(やまのて)線や路面電車、地下鉄など国内に多く存在する。
国内の鉄道におけるオメガループ線のうち地形の都合でオメガループ線となっているものを列挙してみた。すなわち、オメガループ状に運行されている路線(大江戸線やポートライナーなど)については除外した。
(1) 神路(かみじ)ループ線
【所在地】北海道中川町(なかがわちょう)
【区間】筬島(おさしま)~佐久(さく)
【所属】JR北海道
ここは、神路渓谷(かみじけいこく)の地形に沿って敷設(ふせつ)されたオメガループ線である。
(2) 恵比島(えびしま)ループ線
【所在地】北海道留萌市(るもいし)
【区間】恵比島~峠下(とうげした)
【所属】JR北海道
ここは、恵比島峠を迂回(うかい)するためのオメガループ線である。
(3) 新得(しんとく)ループ線
【所在地】北海道新得町(しんとくちょう)
【区間】トマム~新得
【所属】JR北海道
ここは、上落合(かみおちあい)信号場と新得駅の高低差を克服するためのオメガループ線である。
新得ループ線
(4) 黒松内(くろまつない)ループ線
【所在地】北海道黒松内町(くろまつないちょう)
【区間】熱郛(ねっぷ)~目名(めな)
【所属】JR北海道 ここは、白井川渓谷(しらいがわけいこく)を迂回(うかい)するためのオメガループ線である。
(5) 駒ヶ岳(こまがたけ)ループ線
【所在地】北海道黒森町(もりまち)
【区間】駒ヶ岳~森(もり)
【所属】JR北海道 ここは、駒ヶ岳山麓を迂回(うかい)するためのオメガループ線である。
(6) 大志田(おおしだ)ループ線
【所在地】岩手県盛岡市
【区間】上米内(かみよない)~区界(くざかい)
【所属】JR東日本 ここは、米内川渓谷(よないがわけいこく)を迂回(うかい)するためのオメガループ線である。「上米内~区界」間の営業キロは25.7kmであり、JRの在来線において国内最長である。所要時間は35分である。
(7) 大橋(おおはし)ループ線
【所在地】岩手県釜石市(かまいしし)
【区間】上有住(かみありす)~洞泉(どうせん)
【所属】JR東日本 ここは、両駅の高低差を克服するためのオメガループ線であり、国内で最も有名なオメガループ線である。迂回(うかい)区間の直線距離は1kmくらいであるが、迂回距離は10kmくらいである。その迂回区間は、まるでテニスラケットのような形をしている。そのラケットの柄(え)のあたりに陸中大橋(りくちゅうおおはし)という駅が存在する。
大橋(おおはし)ループ線
(8) 磐梯(ばんだい)ループ線
【所在地】福島県磐梯町(ばんだいまち)
【区間】翁島(おきなしま)~東長原(ひがしながはら)
【所属】JR東日本 ここは、磐梯山麓を迂回(うかい)するためのオメガループ線である。
(9) 阿賀(あが)ループ線
【所在地】新潟県阿賀町(あがまち)
【区間】三川(みかわ)~五十島(いがしま)
【所属】JR東日本 ここは、阿賀野川(あがのがわ)に沿って敷設された路線である。
(10) 中里(なかざと)ループ線
【所在地】新潟県湯沢町(ゆざわまち)
【区間】土樽(つちたる)⇒越後中里(えちごなかざと)
【所属】JR東日本 ここは、両駅の高低差を克服するためのオメガループ線である。下り線のみがオメガループ線であり、上り線のほうはアルファループ線である(詳細はこちら)。
(11) 大平台(おおひらだい)ループ線
【所在地】神奈川県箱根町(はこねまち)
【区間】塔ノ沢(とうのさわ)~大平台
【所属】箱根登山鉄道 ここは、両駅の高低差を克服するためのオメガループ線である。「塔ノ沢~大平台~宮ノ下(みやのした)」間には3連続スイッチバックも存在する。大平台は、その2番目のスイッチバック駅である。
(12) 小涌谷(こわきだに)ループ線
【所在地】神奈川県箱根町(はこねまち)
【区間】小涌谷~彫刻の森
【所属】箱根登山鉄道 ここは、両駅の高低差を克服するためのオメガループ線であり、その曲率半径は、鉄道の営業路線としては国内最小である。
(13) 南の沢(みなみのさわ)ループ線
【所在地】静岡県川根本町(かわねほんちょう)
【区間】接岨峡(せっそきょう)温泉~閑蔵(かんぞう)
【所属】大井川鐵道(おおいがわてつどう) ここは、大井川に沿って敷設(ふせつ)されたオメガループ線である。
(14) 飯田(いいだ)ループ線
【所在地】長野県飯田市(いいだし)
【区間】伊那八幡(いなやわた)~伊那上郷(いなかみさと)
【所属】JR東海
ここは、両駅の高低差を克服するためのオメガループ線である。両駅間の道路距離は3.4kmであるが、鉄道の営業キロは7.5kmである。
飯田ループ線
(15) 奥出雲(おくいずも)ループ線
【所在地】島根県奥出雲町(おくいずもちょう)
【区間】三井野原(みいのはら)~出雲坂根(いずもさかね)
【所属】JR西日本
ここは、両駅の高低差を克服するためのオメガループ線である。出雲坂根はスイッチバック駅として有名である。また、両駅を結ぶ路線バスは「奥出雲おろちループ」というループ橋を走行する。
(16) 阿蘇(あそ)ループ本線
【所在地】熊本県阿蘇市(あそし)
【区間】宮地(みやじ)~波野(なみの)
【所属】JR九州
ここは、両駅の高低差を克服するためのオメガループ線である。
<番外>
① 鍋弦(なべつる)線
【所在地】岩手県一関市(いちのせきし)
【区間】陸中門崎(りくちゅうかんざき)~千厩(せんまや)
【所属】JR東日本
大船渡(おおふなと)線の「陸中門崎(りくちゅうかんざき)~千厩」間において、北寄りに大きく迂回(うかい)している区間が存在する。鍋弦(なべつる)線とも言われている。この区間は、我田引水(がでんいんすい)ならぬ我田引鉄の代表例として、鉄道関係者には有名な区間である。
鍋弦線
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