JRきっぷについて調べていると、「指定席券」という用語と「指定券」という用語に遭遇することがある。利用者は区別せずに使用することが多いが、JRではこの用語を区別して使用している。
なお、本記事においては実務における用語として記述している。すなわち、旅客(りょかく)営業規則においては実務とは異なる用語を使用しているが、その点には言及しないことにする。
「指定券」については、「新幹線指定券」という券名と単に「指定券」という券名が存在する。前者は新幹線用であり、後者は在来線用である。
「指定席券」という券名は、在来線における特急以外(急行/快速)の指定席について発売される。したがって、在来線特急用の「指定席券」という券名は存在しない。在来線特急の普通車指定席の場合は、単に「特急券」である。
新幹線についても、「指定席券」というものは存在しない。したがって、「新幹線指定席券」という券名は、存在しない。新幹線の普通車指定席の場合は、「新幹線特急券」である。
まとめると、次のとおりである。
(普通車指定席の場合)
なお、JR以外では、両者の区別は存在しない。「座席指定券」や「列車指定券」など、「指定券」という用語のほうが主流である。
「指定席券」と「指定券」の明確な違いは、金額表示の有無である。
【指定席券】金額表示を伴う
【指定券】金額表示を伴わない
(1) 指定席券
これは、在来線における特急以外(急行/快速)の指定席に対して発売される。
(2) 指定券(新幹線の場合は「新幹線指定券」)
① 複数構成
通常の特急券は、1枚の券面に金額と座席番号が併記される。しかし、次なる複数構成となる場合がある。
【特急券】金額は記載されるが座席番号は記載されない
【指定券】座席番号は記載されるが金額は記載されない
(通称であるが、前者を「席なし券」、後者を「指のみ券」と称している。)
これは、新幹線改札内で新幹線を乗り継ぐ場合などに、新幹線特急券と新幹線指定券として発行される。次なる例は、「小倉⇒東京」間について「さくら」と「ひかり」を乗り継いだ場合であり、3枚構成である。
【新幹線特急券】1枚
【新幹線指定券】2枚
② 「大人の休日倶楽部パス」特典
「大人の休日倶楽部(クラブ)パス」には、6回分の指定席料金が含まれている。したがって、指定席を申し込むと指定券が発券される。
③ 指定席券売機による変更
指定席券売機によって新幹線特急券などを変更処理した場合、新たな新幹線特急券が発券されるのではなく、変更前の新幹線特急券が返却され、併せて新幹線指定券が追加発券される。
券面に、「指定席取消済み」が記載されている。
券面に、「同時発券の切符と同時使用に限り有効」と記載されている。
なお、この「切符」という用語は不適切である。正しくは、「きっぷ」である(詳細はこちら)。残念なことである。