ケーブルカーと斜行エレベータは、似て非なるものである。
ウィキペディア「ケーブルカー」において、「鉄道事業法によらないケーブルカー」として12件の設備が掲載されている(2026年8月19日現在)。しかし、そのうちの2件については、ウィキペディア「斜行エレベーター」においても、設置例として掲載されている(2026年8月19日現在)。
したがって、次なる疑問が生じる。
① その2件は、ケーブルカーなのか斜行エレベータなのか。
② ウィキペディア「斜行エレベーター」の編集者は、残りの10件については「斜行エレベーター」ではないと断じているのか。
①については、非常にややこしい問題である。ひとつの指標として、適用される法令が異なるということが挙げられる。
【ケーブルカー】鉄道事業法
【斜行エレベータ】建築基準法
しかし、この指標に従うと、「鉄道事業法によらないケーブルカー」という表記自体が矛盾することになる。したがって、「鉄道事業法によらないケーブルカー」ではなく「ケーブルカーに似ているもの」という主旨の表記にせざるをえない。ウィキペディア「ケーブルカー」においては、設置例として「鉄道事業法に基づくもの」と「鉄道事業法によらないケーブルカー」を掲載している。
ケーブルカーも斜行エレベータも、ケーブルで牽引(けんいん)される設備である。その範疇(はんちゅう)において、ウィキペディア「斜行エレベーター」では、ユニークな定義を採用している。
【ケーブルカー】運転操作者の位置が車両外部である
【斜行エレベータ】運転操作者の位置が車両内部である
これは、説得力のある定義であると感じられる。しかし、貨物用設備については運転操作者の位置が車両外部である垂直エレベータが存在するので、「運転操作者の位置が車両外部である垂直エレベータ」は存在するが「運転操作者の位置が車両外部である斜行エレベータは存在しない」ということになり、説得力に欠けるように感じられる。
また、ウィキペディア「斜行エレベーター」では、次なる定義も採用している。
【ケーブルカー】定時運行である。
【斜行エレベータ】随時運行である。
これも、説得力のある定義であると感じられる。しかし、ほとんどの業務用設備は随時運行なので、原理が完全にケーブルカーであってもケーブルカーではないと断じることになるので、やはり説得力に欠けるように感じられる。
まことにややこしい。