乗り鉄は見過ごせない!世田谷線の「幸福の招き猫電車」(東京都世田谷区(せたがやく))

2024年1月6日(土)


    東急の世田谷(せたがや)線は、ユニークな路線である。車両は路面電車そのものであるが、全線にわたって専用軌道であって併用軌道が存在しない。しかし、地域への密着度としては、他の路面電車にひけを取らない。世田谷線を路面電車に含めるか否か悩ましい問題である(路面電車についてはこちら)。

    世田谷線の観光名所として有名なのは、豪徳寺(ごうとくじ)である。豪徳寺は、招き猫で有名な寺である。
    かつて、彦根藩主である井伊直孝(いいなおたか)が、鷹狩の帰りにこの寺の前を通りかかった。その際に、その山門に居た猫が、手招きしているように見えた。直孝が、その手招きに応じてその寺で過ごしていると突然雷雨となった。直孝は、いたく感動した。
    昔から、「猫が顔を洗うと雨が降る」と言われている。猫は、気圧の変化を感じ取って毛づくろいをするのだが、その様子が手招きしているように見える。山門に居た猫に直孝を手招きするという意図は無く、単に身だしなみを整えていたのである。

    世田谷線では、その招き猫にあやかって「幸福の招き猫電車」という観光列車を運行している。「幸福の招き猫電車」は1編成だけであり、その運行時刻はネット公開されているのだが、公開されるのは当日分だけである。その運行時刻は、毎日変更される。数往復しか運行されない日もあれば、全く運行されない日もある。
    世田谷線の列車は、全部で10編成存在する。「幸福の招き猫電車」は、そのうちの1編成である。一般に、観光列車は土日祝日優先で運行される。しかし、東急電鉄としては、「幸福の招き猫電車」を土日祝日優先で運行しようという意図はまったく無く、10編成のうちの単なる1編成にしか考えていない。したがって、土日祝日であっても運休となることがある。運行されるか否か、当日のネット情報を見るしかない。かなりハードルの高い観光列車である。
    「幸福の招き猫電車」を訪問するにあたって、午前9時頃に訪問する案と13時頃に訪問する案の2通りの行程を準備した。今朝、目覚めてすぐにネット情報を見た。午前9時頃も13時頃も運行される。第1希望は13時案のほうであり、13時案を遂行する。

行程図

    乗車券については、都区内パスを利用する。都区内パスは紙きっぷとICきっぷが存在するが、紙きっぷよりもICきっぷのほうが乗り越し運賃がお得なので(詳細はこちら)、ICきっぷを利用する
    採算は、次のとおりである。
【パス+α1,256円
【都度払い】1,335円

    「品川⇒柏(かしわ)」間については、普通列車(快速を含む)のグリーン車を利用する。
    特急列車においては、普通車とグリーン車に料金差ほどの違いを感じてはいない。しかし、普通列車(快速を含む)においては両者の違いは歴然としている。したがって、特急列車のグリーン車を利用することはめったにないが、普通列車(快速を含む)のグリーン車はよく利用している。
    JR東日本は、1月31日までの期間限定で、通常より少ないポイント数でSuica(スイカ)グリーン券と交換できるというキャンペーンを実施しているので、それを利用する
    「品川⇒柏」間の営業キロは50km以下であり、グリーン料金の価格比較は、次のとおりである。
【ポイント交換(限定)】400P
【一般(土休)】580円
【ポイント交換(通常)】600P

(1)  デリ・フランス

    まずは、柏(かしわ)駅近くで朝食である。

シュガートースト&スイートポテト&
ミルク

(2)  流山ガード

    これは、1896年に建設された煉瓦(れんが)遺構である。煉瓦造りというのは珍しく、道幅は、車1台分くらいしかない。



    なお、所在地は流山市ではなく松戸市である。

(3)  北小金支線

    常磐(じょうばん)線と武蔵野(むさしの)線は、新松戸(しんまつど)駅において十文字に交差している。したがって、乗り換えずに両線を利用することはできない。しかし、両線間に北小金(きたこがね)支線という短絡線が存在し、新松戸を経由せずに通過することができる。但し、北小金支線を走行する旅客(りょかく)列車は、臨時の特急列車だけである。
    また、「南流山(みなみながれやま)~北小金」間には、「馬橋(まばし)~南流山」間を短絡する馬橋支線も存在する。十文字に交差する常磐線と武蔵野線に、北小金支線と馬橋支線が短絡し、さらに流鉄まで交差していて、新松戸駅周辺は非常に複雑である(短絡線についてはこちら)

北小金支線

    なお、馬橋支線を走行する旅客列車は存在しない。

常磐線から分岐する北小金支線

常磐線と北小金支線の分岐点

北小金支線と流鉄の交差点

(4)  幸谷駅

    幸谷(こうや)は、マンションの1階に存在する。

駅舎

幸谷を出発する流山行き列車

(5)  馬橋支線

馬橋支線と流鉄の交差点

常磐線と馬橋支線の合流点

(6)  馬橋駅

駅舎

行き止まり(2番線)

馬橋を出発する流山行きの列車

(7)  都区内パス

乗車券

ご案内

    「金町(かなまち)駅前」というバス停に到着したバスの行き先表示は、「金町駅前」ではなく「金町駅」であった。このようなことではいけない。

(8)  新金貨物線

    これは、小岩(こいわ)と金町をむすぶ貨物線である。現時点における定期列車は、1日4本である。「新小岩~金町」間(仮称:新金線)の旅客線化が計画されている。旅客化しても常磐線の利用者が新金線に移行するとは考え難いが、京成金町線の利用者は新金線に移行することになると推測される。

国道6号の踏切

(9)  新宿(にいじゅく)交通公園 無料

    ここには、ミニ鉄道が存在する。
【所在地】東京都葛飾区(かつしかく)
【種別】ミニ鉄道
  ① DL列車
  ② SL列車(石炭)
  ③ EL列車(蓄電池)
【設備名称】ミニSL
【愛称】
  【DL列車】メルヘン号
【容姿】
  【DL/SL】SL
  【EL】ドクターイエロー
【編成】動力車1両&客車5両×1路線
【運行形態単線1編成方式(環状)
【用途】園内遊覧
    葛飾区役所のホームページでは、「ミニSL」と称しているが、DLも電車も存在する。軌道は第三軌条方式であるが、動力は外部電力ではない。
    運行される列車は、時間帯によって異なる。
  【土曜午前】DL
  【土曜午後】EL
  【日曜祝日】SL

駅舎

    ミニ鉄道の駅舎として、これほど立派な駅舎は見たことが無い。

メルヘン号

    動画はこちら。乗車した列車は、2024年の1番列車である。

駅名標

転車台

    ここの線路は5インチと7.5インチの三線軌条であるが、転車台は四線軌条である。

都バス

消防車

(10)  おかず屋

コロッケ
(35円。安ッ。)

(11)  両さん像


    亀有駅前には、現実に、亀有駅北口交番と亀有駅南口交番が存在する。

(12)  大谷田(おおやた)南公園 無料

    ここにも、ミニ鉄道が存在する。小学生以上は有料であるが、シニアは無料である。
【所在地】東京都足立区(あだちく)
【種別】ミニ鉄道(蓄電池)
【設備名称】ミニ新幹線N700A
【編成】動力車1両&客車6両×1路線
【運行形態単線1編成方式(環状)
【用途】園内遊覧
    軌道は第三軌条方式であるが、動力は蓄電池である。

駅舎

ミニ新幹線N700A

    ここでは、乗車中のスマホ操作は禁じられている。

駅名標

(13)  東急線ワンデーパス

    東急線ワンデーパスについては、Q-SKIP(キュースキップ)という電子きっぷが、お得である。採算は、次のとおりである。
【パス(電子)】740円
【パス(紙)】760円
【都度払い】1,100円

    Q-SKIPを利用する場合は、次のとおりである。
【世田谷線のみ】
  【下高井戸/三軒茶屋】駅員にスマホ画面を提示
  【その他】乗務員にスマホ画面を提示
【世田谷線以外】QRコード読み取り機能のある自動改札機を利用

(14)  幸福の招き猫電車

    公開されている運行時刻は、三軒茶屋の出発時刻だけである。下高井戸の発着時刻については、Y!乗換案内などのアプリを利用して類推するしかない。
    時刻表によると、三軒茶屋発12時06分という列車が存在する。Y!乗換案内によって「三軒茶屋⇒下高井戸」間を検索すると、下高井戸着は12時23分である。現在時刻は12時12分であり、良いタイミングである。

下高井戸に到着する
「幸福の招き猫電車」

下高井戸に停車中の
「幸福の招き猫電車」

幸福の招き猫電車(300系)

    動画はこちら

(15)  スペースU(ユー)ハイム

    ここはマンションであるが、その壁面に車両が存在する。

客車

    ヘッドマークには、「Santa Fe(サンタフェ)」と書かれている。

車掌車

    ヘッドマークには、「つばめ」と書かれている。

(16)  赤松通り

街灯

(17)  西福寺(さいふくじ)

正真正銘「葵の御門」
(あおいのごもん)


独特の架線

    この方式は直接吊架(ちょうか)式と称され、低速路線において利用される方式である。一般路線の方式は、シンプルカテナリー式である。

一般車両(300系)

一般車両(
300系)

(18)  たまでんカフェ山下(やました)

    ここには、玉電の写真が展示されている。玉電とは、世田谷線の愛称である。世田谷線は、かつて玉川電気鉄道の一部分であった。

(19)  まほろ堂蒼月(そうげつ)

青豆大福&煎茶

    ここは、いわゆる「甘味処」である。その「甘味処」の読みは「あまみどころ」であり、「かんみどころ」は誤りである。「甘味料(かんみりょう)」という読みに引きずられているものと推察される。
    そもそも、「苦み」や「旨み」に並ぶことばとして「甘み」ということばが存在していて、「み」の当て字として「味」という文字が使われるようになった。したがって、「甘味」の読みは「あまみ」なのである。ところが「甘味料」ということばが流布(るふ)されるにつれて、「甘味」を「かんみ」と読むようになった。
    現在は「かんみどころ」派が7割という調査結果もあるようなので、「かんみどころ」も正しいとする意見もある。

(20)  豪徳寺

    ここは、既に訪問済みであるが、本日はここを訪問しないわけにはいかない。

山門

    ここは、猫が手招きした場所である。

三重塔(さんじゅうのとう)

仏殿

招福殿(しょうふくでん)

招き猫

招き猫

    動画はこちら

    ここの左手に、井伊家の墓所があるのだが、「墓参者以外立ち入り禁止」という主旨の立札が存在する。

法堂(本堂)

(21)  宮の坂(みやのさか)駅

    ここには、旧型車両が存在する。これは、江ノ電に売却された車両であるが、役目を終えて里帰りし展示されている。

旧型車両(デハ80形)

一般車両(300系)

(22)  ちよだ

たい焼き

(23)  松陰神社

    この神社の祭神は、吉田松陰である。吉田松陰は、「安政の大獄(あんせいのたいごく)」で処刑された人物である。その処刑を命じた井伊直弼(いいなおすけ)の墓は豪徳寺に存在する。井伊家の菩提寺と吉田松陰を祭神とする神社が同じ路線の至近距離にあるというのも、因縁(いんねん)というものであろうか。

大鳥居

御社殿

吉田松陰像

絵馬

(24)  若林踏切

    若林(わかばやし)踏切は、列車が近づくと遮断機が降りるというスタイルではない。遮断機は、存在しない。
    世田谷線は環七通りと平面交差していて、その環七通りの信号に同期した列車信号が世田谷線側に存在する。この仕組みは、路面電車そのものである。すなわち、その環七通りの信号が青であれば列車信号は赤であり、列車は列車信号が青になるまで信号待ちするのである。
    なお、環七通りの信号が青であれば、車は一旦停止することなく走行する。

若林踏切略図

下高井戸行き列車

三軒茶屋行き列車

    動画はこちら

下高井戸行き列車

(25)  三軒茶屋(さんげんぢゃや)駅(世田谷線)
<関東の駅百選>

ヨーロッパ風の駅舎

(26)  桜新町(さくらしんまち)駅

    ここは、漫画「サザエさん」の舞台である。

サザエ&タラ&マスオ

波平&カツオ&ワカメ&フネ

カツオ&ワカメ


(27)  サザエさん通り


(28)  魚徳(うおとく)

    ここは、サザエさんに登場する鮮魚店であり、テレビ東京「出没!アド街ック天国」に登場した店舗である。現在は、居酒屋である。


(29)  サザエさん像

遠景

    このガードレール、何とかならぬものか。

近景

(30) セブンイレブン

    ここは、かつて存在した「三河屋」という酒店が移転して開業したコンビニである。サザエさんに登場するサブちゃんの「三河屋で~す」という声が聞こえてきそうである。ここも、テレビ東京「出没!アド街ック天国」に登場した店舗である


新旧の店舗

(31)  目黒天空庭園 無料
<国土交通大臣賞>
<グッドデザイン賞>

    ここは、首都高の大橋ジャンクションというループ橋の内側に作られた庭園である。周囲の建造物が邪魔するため、地上に居てループ橋の全貌を撮影することは困難のきわみである。 

案内図

大橋ジャンクション

(32)  ポール

カトル・カール&ミルク

(33)  甘楽(かんら)

豆大福

(34)  常磐線のグリーン車

    Suicaグリーン券は電子きっぷであり、旅情に欠けるのが残念である。

グリーン車

(35)  ガスト シニア割

お好み和膳和風ミニハンバーグ