かつて、通過可能型スイッチバックについて述べたことがある(詳細はこちら)。通過可能型スイッチバック停車場は、通過列車(特急など)がスイッチバックせずに走行することができる配線を備えた停車場であり、ここを乗りつぶすには、この停車場に停車する列車(普通列車など)に乗車しなければならない。
国内に存在する通過可能型スイッチバック停車場のうち、旅客(りょかく)列車が停車する停車場は次のとおりである。
① 二本木(にほんぎ)駅(新潟県上越市(じょうえつし))
② 桑ノ原(くわのはら)信号場(長野県千曲市(ちくまし))
③ 姨捨(おばすて)駅(長野県千曲市(ちくまし))
④ 坪尻(つぼじり)駅(徳島県三好市(みよしし))
⑤ 新改(しんがい)駅(高知県香美市(かみし))
なお、鉄道の停車場は、次の2種類に大別される。
【駅】旅客の乗降または貨物の入出荷を伴う
【信号場】旅客の乗降も貨物の入出荷も伴わない
鉄道全線完乗したとはいうものの、実は上述の③以外は未乗区間である。喉(のど)に魚の骨が刺さったような憂鬱な気分である。ということで、未乗区間の乗りつぶしに出かけようと思う。乗り鉄の世界では、これを落穂拾い(おちぼひろい)と称している。①~③は比較的近い距離にあり、日帰りではしごすることができる。本日は、その3か所を訪ねてみたい。
新潟県上越市と長野県千曲市のどちらを先に訪ねるかについて検討した。
まず、二本木について検討する。できれば、自分が乗車する列車だけのスイッチバックではなく、対向列車との行き違いを伴うスイッチバックを体験したい。1日の中で行き違いを体験できるのは、平日では下表に示す6回だけである。その中で、行き違い列車よりも先に到着して、かつ行き違い列車を見送ったあとに出発するという列車を利用したいのだが、そのような列車は存在しない。到着時刻が同時で、かつ出発時刻が遅い列車は存在する。それでよしとするしかない。その列車は下表の太字で示す列車である。
次に、桑ノ原信号場について検討する。桑ノ原信号場は「稲荷山(いなりやま)~姨捨(おばすて)」間に存在するのであるが、乗換案内アプリでその区間の所要時間を調べると、約10分と約15分に大別される。この区間においては、桑ノ原信号場以外の区間が単線なので、所要時間約15分のほうは桑ノ原信号場の待避線に入線して行き違い列車もしくは後続特急列車を先行させるものと推察される。所要時間約15分の列車は次のとおりであり、平日では1日に6本しか存在しない。
18時以降の列車については、日没後なので暗くてよく見えない。結局、10時台から16時台の3本のうちのいずれかに乗車するしかない。この中で16時台の列車は、姨捨で3分間停留しているので、撮影に余裕ができそうである。これを利用したい。
その結果、二本木については、必然的に12時台の列車を利用することになる。経路は下図のとおりである。
行程図
「大宮⇒上越妙高(じょうえつみょうこう)」間の営業キロは200km超であり、「大人の休日倶楽部(クラブ)」ジパング会員割引(以下「大休(おときゅう)30割」)を適用することができる。また、「おときゅうeチケ」という電子きっぷにすることによって更に安価となる(詳細はこちら)。
【一般紙きっぷ】一般運賃+一般料金
【大休30割紙きっぷ】一般運賃×70%+一般料金×70%
【新幹線eチケット】一般紙きっぷ価格-200円
【おときゅうeチケ】新幹線eチケット価格×70%
「長野⇒姨捨」間の営業キロは200km以下であり、大休30割を適用することができない。しかし、「姨捨⇒長野⇒大宮」間と併せて「長野⇒姨捨⇒長野⇒大宮」という連続乗車券にすることによって、合計営業キロが200km超となり大休30割を適用することができる。
但し、「えきねっと」では連続乗車券を申し込むことができない。したがって、「えきねっと」で申し込む際に、とりあえず「姨捨⇒長野⇒大宮」という片道乗車券にしておいて新幹線の指定席を申し込んでおくことが考えられる。ところが、乗車券を「姨捨⇒長野⇒大宮」とすると、希望する新幹線列車が現れない。
下表の黄色で示す列車は、「えきねっと」において姨捨出発時刻として16時00分を設定した場合と17時00分を設定した場合に現れる列車である。新幹線列車については、白地で示す列車も存在するのだが、それは現れないのである。
16時53分に長野に到着して、カフェで休憩してから17時56分発の「かがやき512号」に乗車するというのは想定外なのである。そのような行程はひねくれ者のすることであろうか。いや、そのようなことはない。早めに長野に着いて時間的余裕をみておくということは大いにありうる行程である。姨捨発16時19分と17時20分の間には普通列車は存在しない。姨捨出発設定を17時00分にすると、17時56分発の「かがやき512号」は現れない。長野到着が17時50分で長野出発が17時56分の「かがやき512号」では乗換時間が短すぎるという判断であると推察される。
実は、このような場合に対して、「えきねっと」では、後続列車の発車時刻を選択することができるようになっている。その入口は小さな時計マークなので、多くの利用者は気付かないかもしれない。
(1) レイルウェイクラブ
(2) 新幹線はくたか
「おときゅうeチケ」は電子きっぷであり、旅情に欠けるのが残念である。
確保した指定席は9号車なのだが、8号車に乗車してみた。8号車は新幹線オフィス車両であり、誰でも利用可能(フリースペース)である。私は、B席に座り、両脇の肘(ひじ)掛けをはねあげた。A席やC席に座ろうとする乗客は来なかった。この列車の指定席はほぼ完売の状態であるが、8号車では2割くらいしか座っていなかった。
(3) 上越妙高(じょうえつみょうこう)駅
(4) 新井(あらい)駅
新井駅は、JRの営業分野において特別な駅であるように感じられる。「大人の休日倶楽部パス(東日本)」で乗車できる社線のうち、「えちごトキめき鉄道」は「直江津(なおえつ)~新井」間のみであって、「新井~妙高高原(みょうこうこうげん)」間については、なぜか利用することができないのである。直江津から新井止まりの列車が存在することも興味深い。上越妙高駅と二本木駅は上越市に存在し、その両駅に挟まれた北新井駅と新井駅は妙高市に存在する。妙高市と上越市の地図を見ると不思議な形をしている。境界線が互いに湾のようにへこんでいて、その湾の部分に相手側が入(はい)り込んでいるのである。
上越市と妙高市の位置関係
二本木周辺の住民が天気予報を知りたい場合、上越市の天気予報と妙高市の天気予報のどちらを見るのだろうか。
(5) 二本木駅
<国の登録有形文化財>
向かって右側に別棟でトイレがあるのだが、その設備は最新式である。個室は温水洗浄便座であり、駅のトイレとしては珍しい。
ここは、某工場への引き込み線に続く線路上に設置されたことによって通過可能型スイッチバックになった駅である。上越妙高方面から到着した列車は、「A⇒C⇒A⇒B⇒A」の順に経由して妙高高原方面に進む。北陸新幹線の金沢開業後は、在来線の特急列車が廃止されたので、この駅を通過する旅客列車は存在しなくなった。
<到着状況(動画はこちら)>
① 妙高高原行き普通列車の前方に引き込み線が見えてくる
(列車先頭における前方展望)
② 待避線Cに入線する
(列車先頭における前方展望)
③ ここから後退する
この雪囲いは、待避線が雪に埋もれないようにするための設備であり、これも国の登録有形文化財である。
④ 後退して引き込み線に進む
(列車先頭における後方展望)
⑤ 妙高高原行きホームに到着する
ホームに到着
(列車先頭における後方展望)
(6) なかごうさとまるーむ
ここは、二本木駅の待合室を転用したカフェである。
ドリンクカップの側面には二本木駅のイラストが描かれている。左奥の小鉢(こばち)はアイスクリームである。これでセット価格税込300円である。
ホットケーキとパンケーキの違いについてはネット情報に譲るとして、ここでは説明を容易にするために次のとおり定義する。
【ホットケーキ】スポンジケーキのような食感
【パンケーキ】スフレのようなふわふわ食感
この店ではパンケーキと称しているが、私の定義で言えばホットケーキである。
【ホットケーキ】スポンジケーキのような食感
【パンケーキ】スフレのようなふわふわ食感
この店ではパンケーキと称しているが、私の定義で言えばホットケーキである。
私は、パンケーキは苦手であるが、ホットケーキは好物である。
この駅には、スイッチバック列車をホームではなく地面の目線で撮影するための撮り鉄向け撮影スペースが設けられている。
(動画はこちら)
まず、妙高高原行きの列車が見えてきた。次に直江津行きの列車が近づいてきた。
<行き違い状況(動画はこちら)>
① 妙高高原行き普通列車が待避線Cに入線する
(撮影スペースからの眺め)
【手前】妙高高原行き普通列車であり、奥に向かって進んでいる。
【奥】直江津行き普通列車であり、手前に向かって進んでいる。
【ホットケーキ】スポンジケーキのような食感
【パンケーキ】スフレのようなふわふわ食感
この店ではパンケーキと称しているが、私の定義で言えばホットケーキである。
私は、パンケーキは苦手であるが、ホットケーキは好物である。
(8) 長野駅
往路においては、桑ノ原信号場における行き違いは無かった。
(9) 姨捨駅
<日本三大車窓の駅>
旧狩勝(かりかち)線の狩勝トンネル新得町(しんとくちょう)側・・・北海道新得町(しんとくちょう)
姨捨駅・・・長野県千曲市
矢岳(やたけ)駅・・・熊本県人吉市(ひとよしし)
駅舎
かつて、「快速リゾートビューふるさと」に乗車することによってこの駅を訪れたことがある(詳細はこちら)。
スイッチバック
<着発状況(動画はこちら)>
① 松本行き普通列車が引き上げ線に入線する
(列車先頭における前方展望)
② 向きを変えて引き上げ線を出発する
③ 松本方面行きホームに到着する
(列車先頭における後方展望)
④ 行き違い列車(特急ワイドビューしなの13号)が通過する
(松本方面行きホームからの眺め)
⑤ 松本行き普通列車が松本方面行きホームを出発する
(松本方面行きホームからの眺め)
松本方面行きホームの駅名標
車窓
<日本の棚田百選>
長野方面行きホームの駅名標
<着発状況(動画はこちら)>
① 長野行き普通列車が長野方面行きホームに到着する
② 行き違い列車(特急ワイドビューしなの20号)が通過する
(列車最後尾における前方展望)
③ 長野行き普通列車が向きを変えてホームを出発する
④ 引き上げ線に入線する
⑤ 向きを変えて引き上げ線を出発する
(列車最後尾における後方展望)
(10) 桑ノ原信号場
ここは駅ではなく、列車行き違いのために一時的に待避する信号場である。
<行き違い状況(動画はこちら)>
① 長野行き普通列車が待避線Aに入線する
(列車先頭における前方展望)
② 向きを変えて待避線Aを出発する
③ 待避線Bに入線して向きを変える
④ 行き違い列車(松本行き普通列車)が通過する
(列車先頭における前方展望)
⑤ 長野行き普通列車が待避線Bを出発する
(列車先頭における前方展望)