西武鉄道と秩父(ちちぶ)鉄道は線路が繋がっていて、西武鉄道の列車が秩父(ちちぶ)鉄道に乗り入れている。その渡り線は、X形(エックスがた)に交差している。すなわち、渡り線同士が交差しているのである。
御花畑(おはなばたけ)渡り線については体験済みなのだが、影森(かげもり)渡り線については未体験である。喉元に魚の骨が刺さったままのような憂鬱(ゆううつ)な気分である。いつまでもこのままにしておくわけにはいかない。今回は、その影森(かげもり)渡り線を体験するとともに、併せて御花畑(おはなばたけ)渡り線も再度体験してみたい。
往復いずれも、「特急ちちぶ(ラビュー)」を利用する。「特急ちちぶ(ラビュー)」を利用するのは初めてである。往路については、「特急ちちぶ(ラビュー)」に敬意を表して、起点である池袋(いけぶくろ)で乗車する。復路については、西武秩父(ちちぶ)で「特急ちちぶ(ラビュー)」に乗車するが、所沢(ところざわ)で下車して武蔵野(むさしの)線経由で帰路につくこととする。
次に、渡り線部分の行程である。乗り入れ列車は、土日祝日の8本のみという超秘境である。その時刻表は、次のとおりである。
念のために、西武鉄道と秩父(ちちぶ)鉄道の2023年3月18日(土)改正時刻表を見て驚いた。現行ダイヤにおける秩父鉄道乗り入れ列車は8本であるのに対して、新ダイヤではわずか3本である。
秩父鉄道乗り入れ列車は土日祝日のみの運行なので、8本の列車が運行されるのは、残すところ本日(土)と明日(日)だけである。現在でも超秘境であるのに、来週の土曜日からは極超秘境になってしまう。
<往路>
①~③については、早起きしなければならない。したがって、④を利用する。
<復路>
往路で御花畑(おはなばたけ)渡り線を利用するので、復路では影森(かげもり)渡り線を利用することとなる。したがって、復路の選択肢は、⑥と⑧の2通りに限られる。不測の事態を考慮して、⑥を選択する。
(1) 特急ちちぶ
この列車の車両愛称はラビューであり、ローレル賞に輝いた。その特徴は、次のとおりである。
(a) 先頭の形状
(b) 窓枠の下辺が低い
一般的には腰の高さであるが、この列車は膝の高さである。
(c) 肘掛(ひじかけ)連動リクライニング
一般的には、リクライニング動作時に肘掛は不動である。しかし、この列車では、背もたれと肘掛が一体となっているので、リクライニング操作すると背もたれと肘掛が一緒に傾く。
特急券
券面に、「合計」と「料金」という記載が存在する。「合計」とは、いったい何の合計であろうか。また、両者の金額が異なる場合が存在するのであろうか。用語の定義を知りたい。
動画はこちら。
(2) 秩父鉄道乗り入れ列車
この列車(上表の④)は、横瀬(よこぜ)発9時50分であり、終点は長瀞(ながとろ)である。
動画はこちら。次なる状況を確認することができる。
(a) 西武秩父通過前に左から影森渡り線が近づく
(b) 西武秩父通過前に御花畑渡り線に入線する
(c) 西武秩父通過時に左から秩父鉄道の本線が近づく
(d) 御花畑の②番線に入線する
(e) ホームでは秩父鉄道の運転士が待機している
(f) 運転士が交代したのちに前方のポイントが切り替わる
(g) 秩父鉄道の本線に入線する
(3) ぬくもり号
これは、秩父市コミュニティバスである。
ここには、ネットでスロープカーとして紹介されている乗り物が存在する。
【所在地】埼玉県秩父市(ちちぶし)
【種別】スロープカー(懸垂式)
【設備名称】モノレール
【規模】1両×1路線【運行形態】単線単行方式
【用途】ダム内アクセス(関係者専用)
【補足】
8月に開催される浦山ダム見学会に参加すれば、スロープカーに乗車することができる。
なお、身障者専用のスロープカーが存在する旨の記事がネットに存在する。現地の状況は、次のとおりである。ダム上からダム下までエレベータで降りた。そこは、ダムの内部である。エレベータを降車すると、30段ほどの昇り階段が存在する。ダムの外に出るには、その階段を昇ることになる。その階段に階段昇降機が後付けされている。身障者専用のスロープカーというのはこれのことかと推察される。車両の広さは、車椅子1台が乗れる程度である。屋内施設なので、車両といっても天井は存在せず、床面と囲いのみである。
ダム上からの眺め
さくら湖
(5) 浦山ダム資料館うららぴあ 無料
(6) さくら湖食堂
(7) 武甲(ぶこう)酒造柳家(やなぎや)総本店
<国の登録有形文化財>
<国の登録有形文化財>
現在は、「秩父ふるさと館」という名称の物販店になっている。
現在は、泰山堂(たいざんどう)という名称の喫茶店になっている。
現在は、入船(いりふね)という名称の蕎麦(そば)屋になっている。行列のできる店舗である。
(16) 近藤(こんどう)歯科医院
<国の登録有形文化財>
<国の登録有形文化財>
(17) 小池煙草(こいけたばこ)店
<国の登録有形文化財> 現在は、小池カフェという名称のカフェになっている。
(18) 大月(おおつき)旅館別館
<国の登録有形文化財> 現在は、スノッブという名称の酒場になっている。
(21) 泰山堂
ここは、前述の秩父銘仙出張所(一)である。カフェを開業する前は、藤澤(ふじさわ)泰山堂いう判子(はんこ)屋であった。
ここの看板メニューは、ヌガーグラッセである。ヌガーグラッセは、フランス生まれのアイスデザートである。ヌガーグラッセを提供する店は珍しい。ここのヌガーグラッセを味わうのは、今回で2度目である。
カウンター前に小さな黒板があって、チョークでヌガーグラッセの内容物が記されている。客からよく尋ねられるものと推察される。
店内では静かなクラシック曲が流れる。スタッフは熟年男女2名であるが、2名とも黙(もく)して語らず。客に話しかけることもない。喫茶店はこうでなければならぬ。
(22) 茶々(ちゃちゃ)
前身は、日本料理店であった。入口の引き戸も店内のカウンターもやや格調が感じられ、現在の業態とのギャップがおもしろい。ここの看板メニューは、玄米団子(げんまいだんご)である。
餅(もち)でもなく白玉(しらたま)でもなく、玄米団子が入っている。
「お汁粉(おしるこ)」と「善哉(ぜんざい)」の違いは、次のとおりである。
①関東
【スープ状】おしるこ
【つぶあん入り】田舎(いなか)しるこ
【こしあん入り】御膳(ごぜん)しるこ
【ペースト状】ぜんざい
②関西
【スープ状】
【つぶあん入り】ぜんざい
【こしあん入り】おしるこ
【ペースト状】亀山or金時
私が生まれ育った北九州市では、つぶあんを使用した水分の多いものが主流であり、水分の少ないタイプやこしあんを使うタイプは無かったような気がする。名称は「ぜんざい」であった。現在はどうなのだろうか。
なお、私の好みは、次のとおりである。
①スープ状
②つぶあん
③焼き餅(白玉ではなく)
ところで、「おしるこ」や「ぜんざい」は「甘味処」の定番メニューであるが、その「甘味処」の読みは「あまみどころ」であり、「かんみどころ」は誤りである。「甘味料(かんみりょう)」という読みに引きずられているものと推察される。
そもそも、「苦み」や「旨み」に並ぶことばとして「甘み」ということばが存在していて、「み」の当て字として「味」という文字が使われるようになった。したがって、「甘味」の読みは「あまみ」なのである。ところが「甘味料(かんみりょう)」ということばが流布(るふ)されるにつれて、「甘味」を「かんみ」と読むようになった。
現在は「かんみどころ」派が7割という調査結果もあるようなので、「かんみどころ」も正しいとする意見もある。
(23) クラブ湯
ここは、いわゆる銭湯である。ロッカーなどという野暮なものは存在しない。竹かごを使い続けている。
男湯の浴室正面には、逆さ富士が描かれている。
人面(じんめん)にしか見えん
(24) 御花畑駅
<国の登録有形文化財>
①番線
(25) 影森駅
ここでは、石灰石輸送をになう貨物列車を眺めることができる。この駅から、石灰石採掘現場へ向かう貨物線が延びている。
ヲキ車
これは、鉱石輸送用の貨車である。ここでは、石灰石を輸送している。
(26) 秩父鉄道乗り入れ列車
この列車(上表の⑥)は、影森発15時41分であり、起点は三峰口(みつみねぐち)である。
(b) 右から西武鉄道の本線が近づく
(c) 左に秩父鉄道の本線が近づく
(d) 秩父鉄道の本線を走行する下り列車とすれ違う
(e) 御花畑渡り線が左に離れていく
(27) 西武秩父駅
<関東の駅百選>
<温泉のある駅>
<グッドデザイン賞>
駅名標
(28) 特急ちちぶ
ラビューの乗務員室と客室は、透明ガラスで隔てられている。したがって、乗務員室寄りの座席では、前方展望を楽しむことができる。券売機では、号車指定は可能であるが、座席番号の指定はできなかった。しかし、1号車を選択したら、1A席の「きっぷ」が出てきた。「かぶりつき席」である。
動画はこちら。