運賃計算がややこしい!東京メトロの「西日暮里~綾瀬」間

2024年1月7日(日)


    東京メトロの「西日暮里(にしにっぽり)綾瀬(あやせ)」間は、特別な区間である。「北千住(きたせんじゅ)~綾瀬」間西日暮里(にしにっぽり)北千住」間に分けて記述する。

(1)  「北千住~綾瀬」間

    常磐(じょうばん)線の各駅停車は、「北千住~綾瀬」間については、東京メトロの「北千住~綾瀬」間を走行する。綾瀬が相互乗り入れの分岐点である。北千住も綾瀬も、常磐線と千代田線の乗り換えに際して改札を経由することはない。

綾瀬駅周辺図

    相互乗り入れの分岐点は綾瀬であるが、「北千住~綾瀬」間については、JR線の切符でも東京メトロ線の切符でも利用することができる。すなわち、「北千住⇒東日本会社線150円区間」の切符でも「北千住東京メトロ線150円区間」の切符でもよいのである。
    これは、企画乗車券についても同じことであり、都区内パスでも東京メトロ24時間券でも利用することができる。但し、JR東日本線として計算するか東京メトロ線として計算するかについては、細かい定め(こちら)が存在する。2社の運賃を使い分ける区間というのは、「北千住~綾瀬」間が国内唯一ではないだろうか。

    都区内パスを利用して亀有から新宿へ向かう場合、北千住と日暮里(にっぽり)で乗り換えると乗り越しにならないのだが、西日暮里で乗り換えるほうが早い。但し、西日暮里で乗り換える場合には乗り越し精算が必要である。
    西日暮里には、JR東日本と東京メトロの間の乗り換え改札口が存在する。都区内パスで乗り換える際には、東京メトロ区間の運賃を精算することとなる。「綾瀬~北千住」間は東京メトロの区間であるが、JR東日本の乗車券で利用することができる。したがって、乗り越し区間は「北千住⇒西日暮里」間である。
北千住⇒西日暮里】180円(IC運賃178円)
綾瀬⇒西日暮里】210円(IC運賃209円)
    IC版の都区内パスを登録したICカードを使って亀有で入場し、西日暮里の乗り換え改札口の自動改札機にタッチしたら、精算額として178円が表示された。

履歴印字

    「南千住~北千住」間については、JR東日本(以下「JR」)の他に、東京メトロ日比谷線(以下「メトロ」)と「つくばエクスプレス」(以下「TX」)も存在する。それらの運賃は、次のとおりである。
①【JR】150円(IC運賃146円)
②【TX】170円(IC運賃168円)
③【メトロ】180円(IC運賃178円)

    「南千住~綾瀬」間については、次のとおりである。
①【JR&メトロ】170円(IC運賃167円)
②【メトロのみ】180円(IC運賃178円)
③【TX&メトロ320円(IC運賃314円)
    すなわち、1事業者のみの路線である②よりも、2事業者を乗り継ぐ①のほうがお得なのである。は、「南千住~綾瀬」間の全区間がJR東日本の区間であるとしての金額である。

    最も注意しなければならないのは、南千住で乗車して亀有か金町(かなまち)で下車する場合である。南千住において、日比谷線の改札口を入場すると大損することとなる。
    例えば、「南千住~金町」間については、入場する改札口に応じて次のとおりである。
① JRの改札口
  【JR&メトロ&JR】180円(IC運賃178円)
② TXの改札口
  【TX&メトロ&JR】350円(IC運賃346円)
③  メトロの改札口
  【メトロ&JR360円(IC運賃356円)
    ③の「メトロ」とは、「日比谷線&千代田線」のことである。
    ①も③も同じ2事業者の路線であるが、①は③の半額であるは、「南千住~金町」間の全区間がJR東日本の区間であるとしての金額である。

JR&メトロ&JR

    「南千住~亀有」間についてもほぼ同様であり、次のとおりである。
①【JR&メトロ&JR】180円(IC運賃178円)
②【TX&メトロ&JR】340円(IC運賃335円)
③【メトロ&JR350円(IC運賃345円)

(2)  「西日暮里~北千住」間

    一般に、「JR&私鉄&JR」という連絡乗車券については、JR区間の営業キロを合計し、そのJR運賃と私鉄運賃の和である。しかし、ICカードを利用する場合にはそのような処理を行うことができず、「西日暮里~北千住」間を挟む短距離のJR東日本区間については特別な割引運賃となっている。
【紙切符】
    「JR区間の合計営業キロに対する運賃」と東京メトロ運賃の和
【ICカード】
    西日暮里における乗り換え時間が、1時間を超えるか否かによって異なる。
  【1時間超各区間の運賃の和
  【1時間以内各区間の運賃の和から100円引き

    適用される駅は、次なる各駅である。
【一方】「亀有~取手」間
【他方】山手線/中央線「東京~新宿」間/埼京線「池袋~赤羽」間/京浜東北線「品川~蕨」間/尾久

「西日暮里~北千住」間

    例えば、「日暮里~亀有」間の場合、次のとおりである。
【「北千住~綾瀬」がメトロ180円(IC運賃178円)
西日暮里~綾瀬」がメトロ350円(IC運賃391円)
    すなわち、西日暮里で乗り換えると、北千住で乗り換える場合の約2倍となるのである。これは「常磐線の二重取り」問題と称されていて、亀有と金町の住民が訴訟を起こしている。

    また、「西日暮里~綾瀬」間の場合は、次のとおりである。
① 日暮里と北千住で乗り換え
  【JR&メトロ】180円(IC運賃178円)
② 乗り換え無し
  【メトロのみ】210円(IC運賃209円)
    ①の「北千住~綾瀬」間はメトロ区間なので、2事業者を利用することになるのだが、こちらのほうがお得である。これは、全区間がJR東日本の区間であるとしての金額である。

    類似の区間として、りんかい線の「大崎(おおさき)~大井町(おおいまち)」間が存在する。しかし、その扱いは、「西日暮里~北千住」間とは異なる。

「大崎~大井町」間

    
千代田線経由の「西日暮里~北千住」間は「のんびりホリデーSuica(スイカ)パス」や「休日おでかけパス」のフリーエリアに含まれていないのに特別な割引が存在するが、りんかい線は両パスのフリーエリアに含まれているにもかかわらず特別な割引は存在しないのである。例えば、千代田線「西日暮里~北千住」経由の「日暮里~亀有」間については特別な割引が存在するが、りんかい線経由の「五反田~大森(おおもり)」間については、特別な割引は存在しない。
日暮里~亀有
  【「北千住~綾瀬」がメトロ180円(IC運賃178円)
  【西日暮里~綾瀬」がメトロ350円(IC運賃391円)
五反田~大森
  【JRのみ】180円(IC運賃178円)
  【りんかい線経由】510円(IC運賃502円)

    「西日暮里~綾瀬」間がメトロ経由である運賃は割引運賃であるが、「りんかい線」経由の運賃は3区間の運賃の単なる合計である。

    なお、「五反田⇒大崎⇒大井町⇒大森」間の「りんかい線」経由のルートについては、各社のアプリにおいて対応が異なる。
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