東京メトロの「西日暮里(にしにっぽり)~綾瀬(あやせ)」間は、特別な区間である。特に、「北千住(きたせんじゅ)~綾瀬」間については、戸籍上は東京メトロの千代田線であるが、運賃計算においては、東京メトロの路線として扱う場合とJRの路線として扱う場合が存在するのである。
以下、「西日暮里~北千住」間と「北千住~綾瀬」間に分けて記述するが、先に「北千住~綾瀬」間について記述する。
(1) 「北千住~綾瀬」間
常磐線の各駅停車は、「北千住~綾瀬」間については、東京メトロの「北千住~綾瀬」間を走行する。綾瀬が相互乗り入れの分岐点である。北千住も綾瀬も、常磐線と千代田線の乗り換えに際して改札を経由することはない。
相互乗り入れの分岐点は綾瀬であるが、「北千住~綾瀬」間については、JR線の「きっぷ」でも東京メトロ線の「きっぷ」でも利用することができる。すなわち、「北千住⇒綾瀬」間の場合、「北千住⇒東日本会社線150円区間」の「きっぷ」でも「北千住⇒東京メトロ線150円区間」の「きっぷ」でもよいのである。
これは、企画乗車券についても同じことであり、都区内パスでも東京メトロ24時間券でも利用することができる。但し、JR東日本線として計算するか東京メトロ線として計算するかについては、細かい定め(こちら)が存在する。2事業者の運賃を使い分ける区間というのは、「北千住~綾瀬」間が国内唯一ではないだろうか。
都区内パスを利用して亀有(かめあり)から新宿へ向かう場合、次なる2通りの乗り換えが考えられ、長所と短所が存在する。
【北千住と日暮里で乗り換え】乗り越し精算不要。遅い。
【西日暮里で乗り換え】乗り越し精算必要。早い。
西日暮里には、JR東日本と東京メトロの間の乗り換え改札口が存在する。都区内パスで乗り換える際には、東京メトロ区間の運賃を精算することとなる。「綾瀬~北千住」間については、戸籍上は東京メトロの区間であるが、JR東日本の乗車券で利用することができる。したがって、乗り越し区間は「北千住⇒西日暮里」間である。
【北千住⇒西日暮里】180円(IC運賃178円)
【綾瀬⇒西日暮里】210円(IC運賃209円) IC版の都区内パスを登録したICカードを使って亀有で入場し、西日暮里の乗り換え改札口の自動改札機にタッチしたら、精算額として178円が表示された。下の画像は、その部分の履歴印字である。
(2) 「西日暮里~北千住」間
一般に、「JR&私鉄&JR」という連絡乗車券については、JR区間の営業キロを合計し、そのJR運賃と私鉄運賃の和である。しかし、ICカードを利用する場合にはそのような処理を行うことができず、東京メトロの「西日暮里~北千住」間を挟む短距離のJR東日本区間については特別な割引運賃となっている。
【紙きっぷ】
「JR区間の合計営業キロに対する運賃」と東京メトロ運賃の和
【ICカード】
西日暮里における乗り換え時間が、1時間を超えるか否かによって異なる。
【1時間超】3区間の運賃の和
【1時間以内】3区間の運賃の和から100円引き
適用される駅は、次なる各駅である。
【片方】次なる区間の駅
① 山手(やまのて)線
② 中央線の「東京~新宿」間
③ 埼京(さいきょう)線の「池袋~赤羽(あかばね)」間
④ 京浜東北線の「品川~蕨(わらび)」間
⑤ 尾久(おく)
【他方】「亀有~取手(とりで)」間の駅
例えば、「日暮里⇒亀有」間の場合、次のとおりである。
① 北千住で乗り換え・・・180円(IC運賃178円)
【日暮里⇒北千住】JR
【北千住⇒綾瀬】メトロ
【綾瀬⇒亀有】JR
綾瀬では乗り換えずに、北千住から亀有まで乗ったままである。「北千住⇒綾瀬」間については、戸籍上はメトロの路線であるが、運賃計算においてはJRの路線として扱われ、結局全区間がJRの路線として計算される。
② 西日暮里で乗り換え・・・350円(IC運賃391円)
【日暮里⇒西日暮里】JR
【西日暮里⇒綾瀬】メトロ
【綾瀬⇒亀有】JR
これも、綾瀬では乗り換えずに、西日暮里から亀有まで乗ったままである。「西日暮里⇒綾瀬」間はメトロの路線であり、メトロ運賃が適用される。前述①の「北千住で乗り換え」とは異なり、JRの路線とはみなされない。
すなわち、西日暮里で乗り換えると、北千住で乗り換える場合の約2倍(ICカードの場合は2倍超)となるのである。これは「常磐(じょうばん)線の二重取り」問題と称されていて、亀有と金町(かなまち)の住民が訴訟を起こしている。
また、「西日暮里⇒綾瀬」間の場合は、次のとおりである。
① 日暮里と北千住で乗り換え・・・180円(IC運賃178円)
【西日暮里⇒日暮里】JR
【日暮里⇒綾瀬】メトロ
「北千住⇒綾瀬」間については、戸籍上はメトロの路線であるが、運賃計算においてはJRの路線として扱われ、結局全区間がJRの路線として計算される。
② 乗り換え無し・・・210円(IC運賃209円)
【西日暮里⇒綾瀬】メトロ
①は2事業者を利用するが、②は1事業者しか利用しない。しかし、②よりも①のほうがお得である。
類似の区間として、りんかい線の「大崎(おおさき)~大井町(おおいまち)」間が存在する。しかし、その扱いは、「西日暮里~北千住」間とは異なる。
「大崎~大井町」間
【西日暮里~北千住】
① 特別な割引が存在する
② 「のんびりホリデーSuica(スイカ)パス」や「休日おでかけパス」のフリーエリアに含まれていない
【大崎~大井町】
① 特別な割引は存在しない
② 両パスのフリーエリアに含まれている
例えば、千代田線「西日暮里~北千住」経由の「日暮里~亀有」間については特別な割引が存在するが、りんかい線経由の「五反田(ごたんだ)~大森(おおもり)」間については、特別な割引は存在しない。
【日暮里~亀有】
【「北千住~綾瀬」がメトロ】180円(IC運賃178円) 【「西日暮里~綾瀬」がメトロ】350円(IC運賃391円)
【五反田~大森】
【JRのみ】180円(IC運賃178円)
【りんかい線経由】510円(IC運賃502円) 「西日暮里~綾瀬」間がメトロ経由である場合は割引運賃が存在するが、「五反田~大森」間が「りんかい線」経由である場合は割引運賃が存在せず、3区間の運賃の単なる合計である。
なお、「五反田⇒大崎⇒大井町⇒大森」間の「りんかい線」経由のルートについては、各社の乗換案内において対応が異なる。
【ジョルダン乗換案内】表示される
【Y!乗換案内】表示されない
【ナビタイム】表示されない
【駅すぱあと for web】表示されない
以上、「西日暮里~綾瀬」間に関する特長について記述したが、「南千住~北千住」間については次なる特長も存在する。
「南千住~北千住」間については、JR東日本(以下「JR」)の他に、東京メトロ日比谷線(以下「メトロ」)と「つくばエクスプレス」(以下「TX」)も存在する。それらの運賃は、次のとおりである。
【JR】150円(IC運賃146円)
【TX】170円(IC運賃168円)
【メトロ】180円(IC運賃178円)
「南千住~綾瀬」間については、次のとおりである。いずれも、北千住乗り換えである。「北千住~綾瀬」間については、いずれも、東京メトロの千代田線であり、「南千住~北千住」間のみが異なる。
① JR&メトロ・・・170円(IC運賃167円)
【南千住~北千住】JR
② メトロのみ・・・180円(IC運賃178円)
【南千住~北千住】メトロ(日比谷線)
③ TX&メトロ・・・320円(IC運賃314円)
【南千住~北千住】TX
すなわち、1事業者のみの路線である「メトロのみ」よりも、2事業者を乗り継ぐ「JR&メトロ」のほうがお得なのである。「JR&メトロ」の場合、「北千住~綾瀬」間については、戸籍上は東京メトロの路線であるが、運賃計算においてはJRの路線として扱われ、結局全区間がJR東日本であるとしての運賃である。
最も注意しなければならないのは、南千住で乗車して亀有か金町(かなまち)で下車する場合である。南千住において、日比谷線の改札口を入場すると大損することとなる。
例えば、「南千住⇒金町」間については、入場する改札口に応じて次のとおりである。
① JRの改札口
【JR&メトロ&JR】180円(IC運賃178円)
この運賃は、「南千住~金町」間の全区間がJRの区間であるとしての運賃である。
② TXの改札口
【TX&メトロ&JR】350円(IC運賃346円)
③ メトロの改札口
【メトロ&JR】360円(IC運賃356円)
この場合の「メトロ」とは、「日比谷線&千代田線」のことである。 ①も③も同じ2事業者の路線であるが、③は①の2倍である。
「南千住⇒亀有」間についてもほぼ同様であり、次のとおりである。
① JRの改札口
【JR&メトロ&JR】180円(IC運賃178円)
この運賃は、「南千住~亀有」間の全区間がJRの区間であるとしての運賃である。
② TXの改札口
【TX&メトロ&JR】340円(IC運賃335円)
③ メトロの改札口
【メトロ&JR】350円(IC運賃345円)
この場合の「メトロ」とは、「日比谷線&千代田線」のことである。
①も③も同じ2事業者の路線であるが、③は①の約2倍である。