路線図が気になる!鉄道のループ線

2022年9月6日(火)


    鉄道の路線図を見ているとループ線に目が止まる。ループ線は急勾配区間を緩勾配にするための方策である。国内に存在するループ線は次のとおりである。
    なお、本記事ではオメガループ線(詳細はこちら)を含まない。

(1)  松川(まつかわ)ループ線

【所在地】新潟県湯沢町(ゆざわまち)
【区間】越後中里(えちごなかざと)⇒土樽(つちたる)
【所属】JR東日本
【目的】高低差克服

    (2)と併せて記述する。

(2)  湯檜曽(ゆびそ)ループ線

【所在地】群馬県みなかみ町(まち)
【区間】土合(とあい)⇒湯檜曽
【所属】JR東日本
【目的】高低差克服

連続ループ線

    上越(じょうえつ)線の「越後中里⇒湯檜曽」間の上り線には、松川ループ線と湯檜曽ループ線というふたつのループ線が存在する。下り線「湯檜曽⇒越後中里」間については、新清水トンネルによってほぼ直線状態である。
    そのふたつのループ線のうち、松川ループ線は上り勾配であるが、湯檜曽ループ線は下り勾配である。両者の間に清水トンネルが存在する。川端康成(かわばたやすなり)の「雪国」の冒頭に登場する「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の「トンネル」とは、この清水トンネルのことである。その小説では、高崎側から越後湯沢(えちごゆざわ)側に走行する下り列車が清水トンネルを抜けて土樽駅に到着する様子を記述している。すなわち、当時は、新清水トンネルがまだ開通していないので、下り列車も清水トンネルとこのふたつのループ線を走行していたのである。

    松川ループ線は全区間がトンネル区間なので、ループ感が湧かない。
    上り列車が湯檜曽ループ線にさしかかると、進行方向の右側眼下に第一湯檜曽川鉄橋が見えてきた(動画はこちら)。

    「湯檜曽⇒土合」間の所要時間は、次のとおりであり、下り列車と上り列車では顕著な差がある。湯檜曽ループの有無が所要時間に影響していると推察される。
下り】3分
【上り】9分
    なお、土樽~越後中里」間の所要時間は、下り列車も上り列車も7分であり、松川ループの有無は所要時間に影響していないと感じられる。

(3)  レインボーブリッジ新橋側

【所在地】東京都港区
【区間】芝浦ふ頭(しばうらふとう)~お台場(おだいば)海浜公園
【目的】高低差克服

    通常のループ線はトンネル併用であるが、このループ線は、国内唯一のオープンループ(トンネルが存在しない)である。また、海上に存在するので眺望抜群である。立派な公共交通機関であるのだが、遊園地の乗り物のような楽しさがある。


(4)  鳩原(はつはら)ループ線

【所在地】福井県敦賀市(つるがし)
【区間】敦賀⇒新疋田(しんひきだ)

    これは、上り線に存在する。


(5)  川奥(かわおく)ループ線

【所在地】高知県黒潮町(くろしおちょう)
【区間】若井(わかい)~荷稲(かいな)

  「若井~荷稲」間の途中に川奥信号場が存在し、そこがJR四国と土佐くろしお鉄道の分岐点になっている。路線図や乗換案内アプリでは、「北宇和島(きたうわじま)~若井」間が予土(よど)線として示されているが、厳密に言えば予土線は「北宇和島~川奥信号場」間である。なお、予土線の列車は川奥ループ線を走行しない。


(6)  大畑(おこば)ループ線

【所在地】熊本県人吉市(ひとよしし)
【区間】人吉~矢岳(やたけ)

    ここでは、ループ線の途中にスイッチバックがあり、そのスイッチバックの折り返し点に大畑(おこば)駅が存在する。したがって、「人吉~矢岳」間」を走行する列車に乗車すれば、ループ線とスイッチバックを併せて体験することができる。
    なお、矢岳駅からひと駅だけ吉松(よしまつ)寄りに真幸(まさき)という駅があり、そこもスイッチバックのある駅である。すなわち、「人吉~吉松」間を走行する列車に乗車すれば、ふたつのスイッチバック駅とひとつのループ線を体験することができるのである。また、真幸駅は縁起の良い駅名としても有名である。